グラフィックデザインとWEBデザインって、よく似てるようで実は全然違います。
どちらも「デザインの仕事」であることには変わりないけど、使うスキルやツール、目指すゴールまでしっかり分かれてるんですよね。
「デザイナーになりたいけど、どっちが自分に合ってるのかな?」
そんな風に思っている人にこそ、この記事を読んでほしいなと思います。
たとえば、紙に印刷するチラシやポスターを作るのがグラフィックデザイン。
スマホやパソコンの画面上で操作できるサイトをデザインするのがWEBデザイン。
目的も働き方もけっこう違ってくるので、混同したまま勉強を始めると後悔しちゃうかも。
この記事では、初心者でもわかりやすく「グラフィックデザインとWEBデザインの違い」を5つのポイントで整理していきます。
進路に悩んでいる人も、デザインに興味が出てきた人も、「なるほど!」って思えるはずですよ。

誰もが思うことだよね!まずはそこをハッキリさせるところから始めよう!
グラフィックデザインとWEBデザインの違いとは?
グラフィックデザインとWEBデザイン、この2つの違いを一言でいうと、
「どこで、どう使われるか」っていう目的の違いです。
グラフィックデザインは、チラシやポスター、パッケージなど、紙に印刷するものを対象としたデザイン。
いわば“完成したらそのまま手に取れる”タイプの作品が多いんですね。
一方で、WEBデザインは、スマホやパソコンなどの画面で見るデジタルコンテンツがメイン。
しかもユーザーがクリックしたりスクロールしたり、動きや操作が加わるのが特徴です。
「見せ方」だけじゃなくて、「どう動くか」「どこを押すか」みたいなユーザーの行動までを想定するのがWEBデザインなんです。
似ているようで、それぞれ全く違う役割を持っているから、ちゃんと区別して考えることが大事なんですよ。

同じデザイナーでも、作るものも考えることも違うんだね〜

そうそう、まずは「使われる場所」が大きく違うってことを覚えておこう!
サイズの違いを比較しよう
グラフィックデザインとWEBデザインの大きな違いのひとつが「サイズ」です。
グラフィックデザインの場合、サイズはほとんどがあらかじめ決まっています。
たとえば、A4のチラシ、B2のポスター、はがきサイズのDMなど、決まったサイズに合わせてぴったり作ることが基本なんです。
逆にWEBデザインは、見る人の画面サイズによってレイアウトが変わるのが当たり前。
スマホ、タブレット、パソコン…それぞれ画面の大きさが違うので、「レスポンシブ対応」といって、柔軟に変化するように設計する必要があります。
グラフィックは“固定された枠”の中での表現。
WEBは“動的で自由な枠”の中での設計。ここがまず大きな違いなんですね。

紙はサイズが決まってるけど、Webって毎回形が変わるんだね…

そう!だからWEBは見る環境に合わせて、柔軟に変える工夫が必要になるんだよ。
グラフィックデザインで使われるサイズ
グラフィックデザインでは、用途ごとにサイズがあらかじめ決まっていることが多いです。
たとえば、街中で見かけるポスターや、新聞の折込チラシ、パンフレット、パッケージデザインなどですね。
一般的によく使われるサイズにはこんなものがあります。
- チラシ:A4サイズ(210×297mm)
- ポスター:B2サイズ(515×728mm)やA1サイズ(594×841mm)
- 名刺:91×55mm(日本の標準サイズ)
- パンフレット:二つ折りA4や三つ折りDLサイズ
- 雑誌広告:B5やA4の誌面に合わせたサイズ
サイズが固定されている分、完成イメージがはっきりしていて、細部のバランスや文字の見え方などを事前にしっかり設計するのが大切になります。
また、紙の特性上、デザインしたものは基本的に“そのまま印刷される”ので、ミリ単位での調整やトリムマーク、塗り足しなどの紙ならではの知識も必要なんです。

印刷物って、細かいサイズのルールがたくさんあるんだね…

そう。だからピッタリ作る力と、細かい確認がグラフィックではすごく大事になるんだよ。
WEBデザインで使われるサイズとレスポンシブ対応
WEBデザインでは、見る人によって画面サイズがバラバラなので、「これが正解」という固定サイズはありません。
そのかわりに、どんなデバイスでも見やすくなるように、柔軟にデザインが変化する仕組みが必要になります。
それが「レスポンシブデザイン」と呼ばれる考え方です。
たとえば、パソコンで見たときは3カラムに分かれていたレイアウトが、スマホで見ると1カラムに縦長になる…なんてこと、見たことありますよね?
これはまさにレスポンシブで作られている証拠です。
WEBデザインでよく基準になるサイズは以下のようなものがあります。
- スマートフォン:360px〜430px前後(縦画面が基本)
- タブレット:768px〜1024px
- PC:1280px〜1920px以上
ただし、これは“参考値”でしかなく、常に「どんな画面でも崩れずに見やすい」を目指すことが大事になります。
だからWEBデザインは、設計の時点で「どう崩れるか」「どこで区切るか」みたいな計算も必要になってくるんですよね。

えっ、サイズが決まってないって…難しくない?

最初は慣れなくて苦労するけど、でもその分自由度も高いし、慣れるとけっこう楽しいよ!
色の使い方にも大きな違いがある
グラフィックデザインとWEBデザインでは、「色の考え方」もかなり違います。
グラフィックは、基本的に印刷を前提としているので、CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)というインクの色で成り立っています。
実際に紙に印刷されると、モニターで見ていた色と若干違って見えることもあるんですよ。
一方で、WEBデザインはRGB(レッド・グリーン・ブルー)という光の三原色を使います。
スマホやパソコンの画面は光で色を表現しているので、パキッと明るく鮮やかに見えるのが特徴です。
だから、同じ赤でも「印刷すると暗くくすむけど、画面上では明るく見える」なんてこともよくあります。
この色の違いを知らないままデザインしてしまうと、「思ってたのと全然違う仕上がりになった…」なんて失敗にもつながるので、ちゃんと使い分けが必要なんです。

あれ?データで見たときはキレイだったのに、印刷したらちょっと違う色になってる…?

それそれ!CMYKとRGBの違いを知っておくと、そういうギャップも防げるよ!
グラフィックデザインはCMYKが基本
グラフィックデザインでは、印刷物を前提とした作業がほとんどなので、使う色のモードは「CMYK」が基本です。
CMYKとは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4つのインクを組み合わせて色を表現する方法です。
プリンターで印刷する色と同じなので、実際に紙に出力したときに近い色味になるのが特徴です。
ただし、CMYKにはちょっとしたクセがあります。
たとえば、蛍光色のような鮮やかな色は表現しにくく、モニターで見たときよりも地味に見えることがあるんですね。
だから、画面上で「この青いいな」と思っても、印刷するとくすんだブルーになっていたりします。
また、印刷物は一度印刷したら修正ができないので、色のチェックには特に慎重になります。
印刷前には「色校正」といって、本番前に試し刷りをして確認する工程があるのも、グラフィックデザインならではです。
このように、CMYKは「色を正確にコントロールする」ことが重要なポイントになるんです。

モニターと印刷物で、同じ色なのに全然見え方が違うんだね…

そうなんだよ。印刷は一発勝負だから、色の知識はほんとに大事!
WEBデザインはRGBで表示が基本
WEBデザインでは、色は「RGB」という光の三原色を使って表現します。
RGBとは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)のことで、画面上で色をつくるための仕組みです。
スマホやパソコンのディスプレイは、たくさんの小さな光の点(ピクセル)がRGBで発光して色を見せてくれています。
だから、画面で見る色はとても鮮やかで明るく、「映える」デザインがしやすいのが特徴です。
このRGBのメリットは、ネオンのような発光感や、グラデーションのなめらかさを表現しやすいこと。
とくに最近のWEBデザインでは、明るくてリッチな色づかいが多くなっているので、RGBの特性をうまく活かすことが求められます。
ただし、RGBはあくまで「ディスプレイ専用の色」なので、これをそのまま印刷に使うとイメージがまったく変わってしまいます。
だから、WEBと紙、両方で展開するデザインを作るときは、RGBとCMYKの切り替えにも気をつける必要があるんです。

デえ〜!画面って光で色が見えてるんだね。だからあんなに明るいんだ…

WEBの色は“光の色”って思っておくとわかりやすいよ!
使用するソフトやツールの違い
グラフィックデザインとWEBデザインでは、使うソフトやツールにもハッキリと違いがあります。
それぞれの仕事に合った機能を持ったツールがあるので、最初に「自分がどっちの分野を目指したいか」を考えると、選ぶべきツールも自然と見えてきます。
たとえば、印刷物やロゴ、イラストなどのビジュアルをつくるグラフィックデザインでは、色や形を緻密にコントロールできるソフトが重要です。
使うソフトが違うということは、覚えるべき操作や機能もガラリと変わるということ。
だから、道具の違いを知ることは、進む方向を決めるうえでとても大切なポイントになります。

えっ、同じデザインでも使うソフトが全然ちがうんだね

うん、ツールの選び方でその後の学びやすさも変わってくるんだよ!
グラフィックデザインに使われる代表的なソフト
グラフィックデザインの現場でよく使われるのが、「Adobe Illustrator」と「Adobe Photoshop」の2つです。
この2つは、ほとんどのグラフィックデザイナーが必ずといっていいほど使っています。
Illustrator(通称:イラレ)は、ロゴやアイコン、チラシ、名刺など、線や形を自由に操ってデザインを作るのが得意なソフトです。
ベクター形式で作成するため、拡大・縮小しても画質が落ちないのが大きな強みです。
一方、Photoshop(フォトショ)は、写真の加工や合成、色調整に強いソフトです。
ビジュアルメインのポスターや、写真を使った表現をしたいときには必須です。
レイヤー構造でデザインするので、細かい編集がしやすいのもポイントですね。
他にも、InDesign(印刷物のページものを作るソフト)や、Procreate(iPadで描くイラスト系アプリ)を使う人もいますが、まずはIllustratorとPhotoshopが中心になります。
ツールに慣れるには時間がかかりますが、使いこなせるようになるとグラフィックの幅はぐんと広がりますよ。

イラレとフォトショって名前はよく聞くけど、何に使うのかちゃんとは知らなかったかも…

そうだよね。でもこの2つが使えれば、グラフィックデザインはかなり安心だよ!
WEBデザインでよく使われるツール一覧
WEBデザインで使われるツールは、画面上での見た目を整えるだけでなく、「ユーザーがどう操作するか」
までを意識して作れるものが多いです。
最近では、クラウド型でチームと一緒に編集できるものが主流になっています。
まず代表的なのが「Figma(フィグマ)」。無料で始められて、ブラウザ上でサクサク動くので、今やWEBデザイナーのスタンダードになっています。
複数人でリアルタイム編集ができるのも便利なポイント。
次に「Adobe XD(エックスディー)」。
これはAdobe製のWEBデザイン専用ツールで、アプリやWebサイトの画面設計(ワイヤーフレーム)を作ったり、動きのあるプロトタイプを作るのに向いています。
もちろんPhotoshopやIllustratorも画像加工などに使いますが、WEBデザインでは「画面全体の設計をどうするか」「どう動かすか」に特化したツールを使いこなすことが求められます。

FigmaとかXDって聞いたことあるけど、使ったことはないんだよね〜

大丈夫、最初はみんなそう。どれか1つから触ってみれば、自然と慣れてくるよ!わたしも新しいツールは積極的に使ってかないとね・・・
デザイナーとしての仕事内容と求められるスキルの違い
グラフィックデザイナーとWEBデザイナーは、同じ「デザイナー」という名前がついていても、やっていることや求められるスキルには明確な違いがあります。
グラフィックは“完成形の見た目”を作ることに特化し、WEBは“動きや体験”まで考えることが求められる。
それぞれの仕事のゴールが違うからこそ、必要な力も変わってくるんですね。

デザインって全部同じことしてると思ってたけど、考えることが全然違うんだね…

そうなんだよ。見た目を作るっていうのは同じでも、目的と使い方がまったく違うからね!
グラフィックデザイナーの仕事とスキル
グラフィックデザイナーの仕事は、広告代理店やデザイン事務所、メーカーのインハウスデザイナーなど、働く場所もさまざまです。
具体的な流れとしては、まずクライアントの要望をヒアリングして、伝えたいメッセージやターゲットを理解します。
それをもとにコンセプトを立てて、色やフォント、レイアウトを選び、PhotoshopやIllustratorを使ってデザインを形にしていきます。
印刷物の場合は、データの入稿や色校正といった工程もあり、入稿データの作成スキルも重要です。ミスがあると大きなトラブルになるので、確認力や責任感も求められるんですよね。
求められるスキルとしては、以下のようなものがあります。
- 色彩感覚、レイアウトの基礎力
- Illustrator、Photoshopの操作スキル
- 印刷・紙の知識(解像度・トリムマーク・塗り足しなど)
- 伝えたい情報をシンプルに整理する力
- クライアントとのコミュニケーション力
特に、視覚的なインパクトと情報整理のバランスを取るのがグラフィックデザイナーの腕の見せどころです。

なんか、パソコンでデザインするだけじゃなくて、紙とか印刷のことも詳しくないとダメなんだね…

うん、印刷物は失敗がきかないから、細かいところまで気を配る力が大事なんだよ!
WEBデザイナーの仕事とスキル
WEBデザイナーの仕事は、パソコンやスマホで見るサイトやアプリなどの画面をデザインすることです。企業サイト、ECサイト、LP(ランディングページ)、バナー広告など、扱うジャンルはかなり幅広くあります。
まずはワイヤーフレームと呼ばれる設計図を作って、どこに何を配置するかを整理します。
その後、FigmaやAdobe XDなどのツールを使ってデザインを組み立てていくのが一般的な流れです。
ただ見た目を作るだけでなく、「ユーザーが迷わず、必要な情報にちゃんとたどり着けるか」といった体験設計(UX)も大切なポイントになります。
クリックしたくなるボタン配置や、スマホでも見やすいレイアウト設計など、考えることはけっこう多いんですよね。
さらに、コーディング(HTML・CSS)の知識もあると、コーダーとの連携がスムーズになりますし、簡単な修正であれば自分で対応できるので重宝されます。
求められるスキルをまとめると、こんな感じです。
- 情報設計や導線を考える力(UI/UX設計)
- FigmaやXDなどのデザインツールの操作
- Webの基本構造(HTML・CSS)の理解
- スマホ・タブレット対応のレスポンシブ設計
- ディレクターやエンジニアとの連携力
デザイン+設計+ちょっと技術。この3つをバランスよく考えられるのが、WEBデザイナーの強みです。

WEBデザイナーって、見た目だけじゃなくて動きとか導線まで考えるんだね

そうだよ。デザインっていうより“設計”に近い部分もあるんだよね!
共通するスキルや考え方もある
グラフィックデザインとWEBデザインは、目的や作るものが違うとはいえ、共通して必要なスキルや考え方もたくさんあります。
たとえば、「視覚的に情報を整理して伝える力」はどちらにも共通しています。
見やすいレイアウト、適切な余白、文字の強弱、配色バランスなど、基本的なデザイン原則はどちらの分野でも大切です。
さらに、「ターゲットを意識してデザインする力」も欠かせません。
どんな人に見せたいのか、その人がどんなふうに感じて、どう行動してほしいのかを想像しながら作るのは、どちらの仕事でも共通しています。
そしてもうひとつ、「伝えたいことをできるだけシンプルに表現する」という意識も大切です。
情報を詰め込みすぎず、相手の立場に立って考えること。それが結果的に、伝わるデザインにつながっていきます。
どちらを選んでも、「見た目のかっこよさ」だけでなく、「相手に届くこと」を意識する姿勢が、デザイナーとしての基礎になっていきます。

へえ〜…結局、相手のことを考えるっていうのが大事なんだね

私も上司によく「人の気持ちを考えてデザインしなさいって」って言われるよ!どっちの道に進んでも、“伝える力”が基本になってくるんだよ!
グラフィックデザインとWEBデザインは「別物」として理解しよう
ここまで読んで、「似てるようで全然違うんだな」と感じた人も多いかもしれません。
グラフィックデザインとWEBデザインは、どちらも“伝えるためのデザイン”という点では共通していますが、その方法も働き方も、求められる考え方も大きく違います。
グラフィックは「紙や実物に印刷される前提」で、色やサイズが固定されていて、見せたいものを一瞬で伝える力が問われます。
一方WEBは「ユーザーが触れて使う前提」で、環境によってレイアウトが変わり、操作や導線設計などの“使われ方”までが大事になります。
この違いをちゃんと理解していないと、どちらを学ぶか、どの仕事を選ぶかでも迷ってしまいがちです。
でも逆に言えば、自分が「どんな表現をしたいか」「どう関わっていきたいか」が見えてくれば、進む道も自然と決まっていきます。
どっちが正解とか優劣じゃなくて、まったく別のジャンル。
それぞれに魅力があるから、自分に合った方向でデザインを楽しんでいけるといいですね。

最初は同じようなものだと思ってたけど、こうして見るとまったく違う世界だね

うん、だからこそ、自分に合う方をじっくり選ぶのが大事だよ!
グラフィックデザインとWEBデザインの違いまとめ
今回の記事では、グラフィックデザインとWEBデザインの違いについて、初心者にもわかりやすく5つのポイントに分けて紹介しました。
それぞれの特徴や向いている人が見えてきたのではないでしょうか?
要点まとめ
- グラフィックデザインは印刷物やロゴなど“形に残るもの”を作る
- WEBデザインはサイトやアプリなど“操作されるもの”を設計する
- 使用する色(CMYKとRGB)やサイズの考え方が大きく異なる
- 必要なツールやソフトもそれぞれ専門的なものがある
- どちらにも共通する“伝える力”や“相手視点”は重要
どっちがいい・悪いではなく、自分の性格や興味に合う方を選んで学んでいくことが大事です。
どちらも“誰かの役に立つデザイン”であることには変わりありません。
自分の「好き」や「向いてそう」を大切に、じっくり選んでいきましょう。
デザインの勉強始めたいけど、グラフィックとWEBってどう違うの?